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ユーゴー『死刑囚最後の日』  ★★☆
死刑囚最後の日
死刑囚最後の日
ヴィクトル・ユーゴー, 豊島 与志雄
 では、この六週間の苦悶とこの一日じゅうの残喘とは、いったい何なのか。こんなに徐々にまたこんなに早くたってゆくこの取り返しのつかぬ一日の苦悩は、いったい何なのか。死刑台で終わってるこの責苦の段階は、いったい何なのか。
 外見上、それは苦しむことではない。
 けれど、血が一滴一滴つきてゆくことと、知能が一つの考えから一つの考えへと消えてゆくこととは、同じ臨終の痙攣ではないか。

 読みにくかった……海外の古典は苦労して読まなきゃならない。友達の本棚にあって、ユーゴーという名前だけは知っていたので借りてみた。有名だと思ったら『レ・ミゼラブル』の作者か! ウィキで知った自分の無能さよ。
 自然から享けた生命を人為的に奪い去る社会制度=死刑。その撤廃をめざし、若き日のユーゴー(1802-85)が情熱を燃やして書きあげたこの作品は、判決をうけてから断頭台にたたされる最後の一瞬にいたるまでの一死刑囚の苦悶をまざまざと描きだし、読む者の心をも焦燥と絶望の狂気へとひきずりこむ。(表紙)
 序文は断念した。本文読んだからまあよし! ユーゴーはどうにかして死刑を撤廃したかったらしいけど、フランスにおいては実現したんだね。私はつい先日EUに加盟するためには死刑を廃止しなければならないと知った。生憎死刑大賛成なのでユーゴーには同意できないんだけど。
 個人的な考えでは、重罪を犯した人に一日たりとも地球の資源を無駄使いしてほしくないから(人間は生きているだけで環境破壊してしまうので)死を持って罪を償うのが一番適しているのではないかと思う。どうせなら食物連鎖に組み込まれる形で(私は多くのことを地球環境という視点から判断してしまう極論の持ち主です)。でも、死に値する罪ってあると思う。私はハンムラビ法典支持者です(笑)話は飛ぶけど人間<その他の生命という伊坂幸太郎の思想にものすごく賛同している。
 主人公(?)の死刑囚が死刑に至るまでの心情を書き残す、という内容。はじめは徒刑より死刑の方がマシだと言っていたのに、段々と死の恐怖に苛まれ、逃げる算段をしてみたり、最後には特赦を求め懇願する。死への用意はできていないけど覚悟はできているなんて、うそ。死が目前に迫るまで本当の恐ろしさはやってこない。死刑になんて絶対なりたくないと思った。
 「断頭台にたたされる最後の一瞬」なんて書いてあるから、てっきり首を落とされる直前まで描写が続くのかと思いきや、そこはきちんと手記の形をとっている。それでいて刃が迫ってくるような気分。もう自分は死ぬのだという実感。すごい。
 この本を読んで死刑を撤廃するより、死刑の恐怖をたとえ虚構のものだとしても味わって、犯罪への抑止になればいいのに。「自然から享けた生命」なんて人間だけのものではない。その他の生物は理由もなく命を奪われたりするし、それに対する罪なんて微々たるものだ。人間だけを特別扱いしているのはキリスト教だから仕方ないのかもしれないけど。やはり死刑制度は継続するべき。
| 文学 | 23:06 | comments(0) | trackbacks(0) |









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