Calendar
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>
Blog&Myself
Selected Entries
Categories
Recent Comments
  • 三浦しをん『舟を編む』  ★★
    藍色 (10/06)
  • 松浦理英子『裏ヴァージョン』  ★★★★★
    マリ (06/13)
  • 松浦理英子『裏ヴァージョン』  ★★★★★
    マリ姉 (04/30)
  • ポール・オースター『幽霊たち』  ★★★★
    マリ (01/21)
  • ポール・オースター『幽霊たち』  ★★★★
    渋谷の帝王 (11/04)
  • ジェイ・イングラム『そうだったのか! 見慣れたものに隠された科学』  ★★★★
    マリ (10/27)
  • ジェイ・イングラム『そうだったのか! 見慣れたものに隠された科学』  ★★★★
    Skywriter (09/12)
  • 東川篤哉『密室に向かって撃て!』  ★★★
    hirose (11/17)
  • 金森修『サイエンス・ウォーズ』  ★★★★
    マリ (06/19)
  • 金森修『サイエンス・ウォーズ』  ★★★★
    Skywriter (02/06)
Archieves
Links
Others

Memoria de los libros preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります
星の数は気分なのであてになりません
<< フランツ・カフカ『変身』  ★★☆ | TOP | バートン版『千夜一夜物語 1』  ★★★☆ >>
夏目漱石『夢十夜』  ★★★★☆
夢十夜 他二篇
夢十夜 他二篇
夏目 漱石
「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」
 自分は黙って首肯た。女は静かな調子を一段張り上げて、
「百年待っていて下さい」と思い切た声でいった。(夢十夜)

 昔し美しい女を知っていた。この女が机に凭れて何か考えている所を、後から、そっと行って、紫の帯上げの房になった先を、長く垂らして、頸筋の細いあたりを、上から撫で廻したら、女はものう気に後を向いた。その時女の眉は心持八の字に寄っていた。それで眼尻と口元には笑が萌していた。同時に恰好の好い頸を肩まですくめていた。文鳥が自分を見た時、自分はふとこの女の事を思い出した。(文鳥)

 妻が出て行ったらあとが急に静かになった。全くの雪の夜である。泣く子は幸いに寝たらしい。熱い蕎麦湯を啜りながら、あかるい洋燈の下で、継ぎ立ての切炭のぱちぱち鳴る音に耳を傾けていると、赤い火気が、囲われた灰の中で仄に揺れている。時々薄青い焔が炭の股から出る。自分はこの火の色に、始めて一日の暖味を覚えた。そうして次第に白くなる灰の表を五分ほど見守っていた。(永日小品・火鉢)

 夏目漱石の本読むの三冊目くらいだけど、こんなに美しい文章を書いていること知らなかった。和語が多いのか、柔らかい響きで(実際に音読してもきれいなんだろう)、その響きに乗せられていると内容が頭を上滑りする。文章の一文一文は簡単で、とてもわかりやすい。三島みたいに豪華なんじゃなくて、きらきらしてる。すごくいい。私の目は節穴だったのか。文章をこんなにも味わえるのは、内容がエンターテインメント的な、ぐいぐい読ませるものではないからだ。
 夢十夜:「こんな夢を見た」ではじまる夢の話が十夜分。
 文鳥:三重吉が文鳥を飼いなさいというので金を渡すと、しばらく経ってから立派な籠と美しい文鳥を持ってきた。
 永日小品:元日・蛇・泥棒・柿・火鉢・下宿・過去の匂い・猫の墓・温かい夢・印象・人間・山鳥・モナリサ・火事・霧・懸物・紀元節・儲口・行列・昔・声・金・心・変化・クレイグ先生
 いいのは文章だけじゃない。中でも夢十夜の一夜目には完全にノックアウトだ。これはよすぎる。これは泣ける。でも何がなんだかよくわからない話も結構ある。理不尽というか。文鳥も割と理不尽というかかわいそうだけど、好きだった。あと解説にもあったけど永日小品の火鉢、実際に火鉢の前にいるような感覚。夏に読んだのに雪の日の静けさを感じるし、手足の先が冷え切る。
 漱石がこんなに愛されるわけがようやくわかってきた。原稿用紙に書いてたんだもんなあ、漢字も全て。自分の怠惰さがわかるわ。紙に書けばもっと考えるようになるかもね。逆立ちしたってこんな文章書けないけどね。どの描写も美しいので、青空文庫ででも読んでみることをお薦めします。本の方が気分は断然出るけど。
 とりあえず『こころ』からはじめよう、本好きな女性オタクにはそういう意味でも欠かせないので(笑)
| 文学 | 16:28 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://blog.mar.moo.jp/trackback/691501